痛いメンヘラ風のブログを目指していたけれど、なんかどうでもよくなったので普通の日記になりました。
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12がつ6か・電凸してきた
2008/12/06/ (土) | edit |
電話をとったのは、嫌に鷹揚とした声の男であった。
彼の舌舐めずりの音さえも聞こえてきそうなほどの近さから発せられる電話越しの音声と、彼の私を高みから見下ろす心持は矛盾していた。
彼は崖の上のライオンだった。
私の素直な質問に、彼は気持のよいほどの笑い声を響かせる。
「君は赤いものは何かと聞かれれば、赤い絵の具だと答えるような阿呆だね」
そうだ。私は阿呆に違いない。誰もが気付いている。私は阿呆だということを否定せず、質問を繰り返す。
「赤い絵の具に牛乳を混ぜてもピンクにはならない。それは牛乳が白くないからというわけではないだろうね。絵の具と牛乳は混ざり合わないんだよ。君と僕との関係はそういうことさ。だけど僕には君みたいな阿呆なふりはできない。答えてあげるよ、君の質問に。答えは、君の思ってる通りさ」
私の思っていることが正しいのなら、私が阿呆だということを彼が自ら否定したことになる。彼の考えていることが分からなくなった。今回の事件で彼と私の差はそんなにも開いてしまったのだろうか。
「否定したいのなら否定するがいいさ。事実は事実だ。詰まる所、犯人は僕だった。そうだよ、僕がやったんだ。どれだけの時間をこのために費やしたと思っている。できることなら何でもやったさ。でも、あいつらにはかなわなかった。あいつらが憎かった。でもさ、君なら分かってくれるだろ。君だってあいつらが今でも憎いんだ。」
彼は本当にやったのか。それはすごいことだ。彼以外にできはしない。
「まぁ君は、僕をこれから憎むことになるんだけれどね」
少し間をおいて付け加えられたその言葉は少し寂しげだった。
「僕の計画はここで終わりじゃない。むしろここから始まるんだ。みんなにも期待しておいてほしい」
もう話すことはない、と言いたげに彼は溜息をつく。ここまでの彼の言い口には私も了解できていたが、その溜息だけはどうにも受け入れられない。
私はその溜息をオウム返ししてやり、この電話は盗聴されているよ、と告げる。彼は長い間忘れていた狼狽という心を取り戻すように慌て、私は架空の盗聴者に笑いかける。解剖実習中に遺体の耳を壁にひっつけて遊ぶ医大生が、その架空のモデルである。医大生は電話の向こうにも聞こえるように、今から君の部屋に覗きに行くよ僕は妖怪一目連だ、と叫ぶ。妖怪一目連と妖怪目目連の違いを説明するとと、医大生はまさにそのような姿になった。
電話越しに、何にも恐れぬライオンは妖怪に怯えていた。崖の上から落ちろ、と私は呪った。
火曜サスペンス劇場ラストは、犯人を模した人形が崖の下に落ちることで幕を閉じる。なぜなら放送時間に決まった枠があるからだ。
私は彼にバツ月マル日までに、と言い電話を切る。
バツ月マル日、そこにあるのは後日談だと私は思っている。



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